yohhoyの日記

技術的メモをしていきたい日記

C++

requires制約とテンプレート特殊化の関係

C++

C++20コンセプトで導入されたrequires節と、テンプレート特殊化の組み合わせには注意が必要。例えば制約付きプライマリテンプレート(#1)に対してdouble型で明示的特殊化(#2)しようとしても、下記記述コードでは#2定義でill-formedになる。これは#1のrequires…

電子書籍"Pro TBB: C++ Parallel Programming with Threading Building Blocks"

Intel oneTBB(oneAPI Threading Building Blocks)によるC++並列プログラミングの電子書籍。PDF形式(754頁)がCC-NC-ND 4.0ライセンスで公開されている。 Pro TBB C++ Parallel Programming with Threading Building Blocks, Michael Voss, Rafael Asenjo, Jam…

コンセプトのパラメータ置換失敗はハードエラーではない

C++2a(C++20)コンセプトにおける原始制約(atomic constraint)では、パラメータ置換(parameter mapping)の失敗はハードエラー(ill-formed)を引き起こさず、その制約式を満たさない(not satisfied)と解釈される。C++17現在はstd::void_tやstd::conjunctionを駆…

コンセプトと短絡評価

C++2a(C++20)コンセプトの制約式(constraint-expression)では、論理演算&&, ||は短絡評価される。*1C++17現在のテンプレートメタプログラミングではstd::conjunction, std::disjunctionメタ関数を必要とするが、C++2aコンセプト導入により自然な制約記述が可…

std::functionのムーブ操作はムーブするとは言っていない

C++

C++標準ライブラリstd::functionのムーブ操作(ムーブコンストラクタ/ムーブ代入演算子)は保持する呼出し可能なオブジェクト(callable object)を必ずしもムーブせず、条件によってはコピーが行われる可能性がある。( ゚Д゚)ハァ?C++標準ライブラリ仕様ではstd:…

std::functionのテンプレート推論ガイド

C++

C++17標準ライブラリで導入されたstd::functionクラステンプレートの推論ガイド(deduction guide)についてメモ。 #include <functional> // 関数ポインタから推論 int f(int n) { return n; } std::function f1 = f; // OK: function<int(int)> // ラムダ式から推論 std::function </int(int)></functional>…

std::views::splitで文字列分割

C++2a(C++20) Rangesライブラリstd::views::splitを利用した文字列分割処理。*1split2str関数は「char範囲を区切り文字delimで分割しstd::stringのViewへ変換するレンジアダプタ(range adaptor)」を返す。 // C++2a #include <iomanip> #include <iostream> #include <string> #include <ranges></ranges></string></iostream></iomanip>…

プライマリ変数テンプレート無効化の実装例

C++2a(C++20)標準ライブラリ<numbers>では、変数テンプレート(variable template)*1により浮動小数点型(float, double, long double)にあわせた数学定数を提供する。一方、浮動小数点型以外によるプライマリテンプレート利用はill-formedとなることが要請されている。</numbers>…

C互換ヘッダとstd名前空間

C++ C

C++標準ライブラリに含まれるC標準ライブラリヘッダ*1と、std名前空間との関係についてメモ。C++11以降では、下記の振る舞いが保証される: ヘッダcxxx: 名前空間stdにCライブラリの識別子が宣言される。グローバル名前空間にも宣言されるかもしれない。 ヘ…

Concept-basedオーバーロードとSFINAE-unfriendlyメタ関数の落とし穴

C++2a(C++20)で導入されるrequires節を用いた関連制約(associated constraints)により従来SFINAE技法よりも関数テンプレートのオーバーロード制御が容易となるが、戻り値型にSFINAE-unfriendlyなメタ関数を用いるケースでは意図しないコンパイルエラーを引き…

memcmp関数 × 宇宙船演算子

C++2a(C++20)で導入される三方比較演算子(three-way comparison operator)<=>(通称:宇宙船演算子(spaceship operator))と、C言語時代の関数インタフェースでよくみられる三方比較結果 “負値/値0/正値” との組合せ利用について。新旧仕様の橋渡し。例え…

複合要件とsame_as/convertible_toコンセプト

C++2a(C++20)コンセプト requires式 に記述する 複合要件(compound-requirement) では「ある式の評価結果が特定コンセプトを満たすこと」を制約するが、このとき標準コンセプトstd::same_as/std::convertible_toを適切に使い分ける必要がある。特に “データ…

decltype(auto) as non-type template-parameter

C++

非型テンプレートのプレースホルダ型にはautoまたはdecltype(auto)いずれも利用できる。素直にautoを使うべき。本記事の内容はStackOverflowで見つけた質問と回答に基づく。 template <auto N> struct S { /*...*/ }; // または template <decltype(auto) N> struct S { /*...*/ }; S<4</decltype(auto)></auto>…

decltype(e)とdecltype((e))のキモチ

C++

プログラミング言語C++における decltype指定子(decltype-specifier) の振る舞いについてメモ。 int x = 41; // 括弧なしの変数名 x decltype( x ) y = x; // int 型 // 括弧付きの式 (x) decltype((x)) z = x; // int& 型 一見すると奇妙に思えるdecltype(e…

C++コンセプトとド・モルガンの法則

C++2a(C++20)コンセプトでは制約式(constraint-expression)に論理積(&&)/論理和(||)/論理否定(!)を表現できるが、制約式を用いたオーバーロード解決では通常の論理演算で期待される ド・モルガンの法則(De Morgan's laws) は適用されない。*1超要約:否定…

リテラル0との比較のみ許容する型

リテラル0との比較のみ許容する型の作り方。そのような型として、C++2a(C++20)三方比較演算子<=>の戻り値型(partial_ordering/ weak_ordering/strong_ordering)がある。 // C++2a #include <cassert> #include <compare> int main() { std::strong_ordering r = (108 <=> 42); </compare></cassert>…

requires式から利用可能な宣言

C++2a(C++20) コンセプト requires式(requires-expression) では、同式を包含するコンテキストのあらゆる宣言を利用できる。下記コードのrequires式からは関数テンプレートの仮引数xを参照している。requires式の本体(requirement-body)は評価されず(unevalu…

ラムダ式のオーバーロード

プログラミング言語C++において、ラムダ式のオーバーロード(もどき)を実装する方法。 // C++17 template <typename... Ts> struct overloaded : Ts... { // 基底クラス(ラムダ式のクロージャクラス)が提供する // operator()群をoverloadedクラス自身から公開する using </typename...>…

yield式を使わないジェネレータ

C++2a(C++20)コルーチンにはジェネレータ実装を容易にするco_yield式が導入されるが、動作仕様的にはco_await式のシンタックスシュガーとなっている。 #include <coroutine> #include <iostream> #include <utility> #define MIMIC_CO_YIELD 1 #if MIMIC_CO_YIELD // yield式相当を表現する</utility></iostream></coroutine>…

C++20標準ライブラリ仕様:Constraints/Mandates/Preconditions

C++2a(C++20)標準ライブラリの関数仕様記述で用いられる Constraints/Mandates/Preconditions の違いについてメモ。 現行C++17標準ライブラリの Requires は廃止され、C++2aでは Constraints/Mandates/Preconditions に細分化される。 Mandates: 型や定…

関数型への参照型にまつわる特例ルール

C++

プログラミング言語C++の関数型(function type)には左辺値(lvalue)しか存在しないが(→id:yohhoy:20200530)、左辺値参照型(R (&)(Args...))/右辺値参照型(R (&&)(Args...))いずれにも束縛できる。そう、よかったね。 #include <utility> using std::move; // 右辺値</utility>…

関数型の右辺値は存在しない

C++

プログラミング言語C++に「関数型(function type)の右辺値(rvalue)」は存在しない。関数型をもつ式の value category は常に左辺値(lvalue)となる。だから何? int v; struct S s; void f(); std::move(v); // xvalue std::move(s); // xvalue std::move(f);…

コンストラクタ/デストラクタ×仮想関数呼び出し

C++においてコンストラクタ/デストラクタからの仮想関数呼び出しそれ自体はwell-definedだが、おそらくC++プログラマの期待する振る舞いではない。バグの温床になりえるため、大抵のコーディング規約で禁止している(はず)。かつてClangに本件を検知する警…

単一メンバunionの使い道

C++

プログラミング言語C++において、単一メンバしか含まない共用体(union)を用いるとオブジェクトの明示的な生成/破棄操作が可能となる。貧者(poor man's)のOptional。 #include <iostream> template <typename T> union Wrapper { // 共用体Uのコンストラクタ/デストラクタ定義は必</typename></iostream>…

独自診断メッセージ diagnose_if属性

Clangコンパイラはユーザ定義のコンパイル警告/エラーメッセージ出力を行うdiagnose_if属性を提供する。 The diagnose_if attribute can be placed on function declarations to emit warnings or errors at compile-time if calls to the attributed funct…

イテレータに->演算子オーバーロードは必要?

C++標準ライブラリが定める InputIterator 要件(requirement) と input_iteratorコンセプト(concept) の変遷についてメモ。まとめ: C++2a(C++20) input_iteratorコンセプトではイテレータ型にoperator*オーバーロードのみ要求する。operator->オーバーロー…

same_asコンセプトとSymmetric Subsumption Idiom

C++2a(C++20)ライブラリ提供の標準コンセプトstd::same_as、およびコンセプト定義における対称包摂イディオム(Symmetric Subsumption Idiom)についてメモ。制約式std::same_as<X, Y>と制約式std::same_as<Y, X>は対称関係、つまり互いに一方が他方を包摂する(subsume)関</y,></x,>…

20分くらいでわかった気分になれるC++20コルーチン

20分くらいでわかった気分になれるC++20コルーチン本文こちら→C++ MIX #5に参加しました - yohhoyの日記(別館)スライド資料:https://www.slideshare.net/yohhoy/20c20 関連URL C++コルーチン拡張メモ(N4736) - yohhoyの日記 C++コルーチン拡張メモ - Qi…

コンセプト制約式の包摂関係とオーバーロード解決

C++2a(C++20)で導入されるコンセプト(concept)に関して、制約式(constraint-expression)間の包摂(subsume)ルールに基づくオーバーロード解決のメモ。本記事の内容はStackOverflowで見つけた質問と回答に基づく。要約:制約式の包摂関係(subsumption relation…

C++標準コンセプトの名前付けガイドライン

C++2a(C++20)標準ライブラリに導入される コンセプト(concept) の名前付けガイドラインについて。2019年Cologne会合にて (PDF)P1754R1 が採択され、Ranges TS提案当初から PascalCase 形式で検討されていた命名規則から snake_case 形式へと変更された。これ…