yohhoyの日記

技術的メモをしていきたい日記

C++2b

std::expectedと強い例外安全性

C++2b(C++23)標準ライブラリに追加されるstd::expected<T, E>の例外安全性についてメモ。正常型T/エラー型Eを値(value)として取り扱いつつ「強い例外安全性(Strong exception safety)」を満たすために、テンプレートパラメータに一定の制約が課される。 ムーブ/</t,>…

std::mdspan×空間充填曲線

C++2b(C++23)標準ライブラリの多次元ビューstd::mdspanクラステンプレート(→id:yohhoy:20230303)は、第3テンプレートパラメータLayoutPolicyを介して任意のメモリレイアウトをサポートする。*1C++2b標準ライブラリは、多次元配列表現としてメジャーな行優…

0次元std::mdspan

C++2b(C++23)標準ライブラリの多次元ビューstd::mdspanクラステンプレート(→id:yohhoy:20230303)では、0次元(rank-0)ビューをサポートする。意味論上は “単一変数へのポインタ” に相当する。(´-`).。oO(使うことあるか?) 2024-02-01追記:C++2c(C++26)…

std::mdspanコンストラクタとCTAD

C++2b(C++23)標準ライブラリに追加される多次元ビューstd::mdspanクラステンプレート(→id:yohhoy:20230303)の、コンストラクタと推論ガイド(deduction guide)による実引数クラステンプレート推論(CTAD; Class Template Argument Deduction)のあれこれ。mds…

std::mdspan

C++2b(C++23)標準ライブラリに追加される多次元ビューstd::mdspanについて。multidimensional spanの略。 // <mdspan>ヘッダ namespace std { template< class ElementType, class Extents, class LayoutPolicy = layout_right, class AccessorPolicy = default_acce</mdspan>…

TemplateParam = void

C++ライブラリのクラステンプレート設計で見られる、型テンプレートパラメータへのvoidデフォルト指定に関するメモ。 template<class T = void> class SomeClass; C++2b(C++23)標準ライブラリ時点では、下記パターンでの用法が存在する。 デフォルトvoid型:std::enable_if(</class>…

変数型のコンパイル時判定

プログラミング言語C++において、コンパイル時にある変数の宣言型を判定する方法あれこれ。 // 型名T と 変数名val // C++11以降 #include <type_traits> static_assert(std::is_same<T, decltype(val)>::value, ""); // C++17以降 #include <type_traits> static_assert(std::is_same_v<T, decltype(val)>); // C++20以降 #</t,></type_traits></t,></type_traits>…

MC Hammer in C++ Standard

プログラミング言語C++標準規格のサンプルコードでビートを刻むMCハマー。 "U Can't Touch This" ( 'ω' و(و♪ ƪ( 'ω' ƪ )♪ template<ranges::constant_range R> void cant_touch_this(R&&); vector<char> hammer = {'m', 'c'}; span<char> beat = hammer; cant_touch_this(views::as_const(beat)); /</char></char></ranges::constant_range>…

std::generator<T/T&&/T&/const T&>

次期C++2b(C++23)標準ライブラリのコルーチンサポート型std::generator&ltRef>(→id:yohhoy:20220801)の第1テンプレートパラメータRefと、オブジェクトのコピー/ムーブの関係性についてメモ。まとめ: 利用側にconst参照を提供:const-lvalue参照const T&…

std::generator<R>

次期C++2b(C++23)標準ライブラリに追加されるstd::generator<R>クラステンプレートについてメモ。提案文書P2502R2よりコード引用:*1 // C++2b #include <functional> #include <generator> #include <range> #include <utility> std::generator<int> fib() { auto a = 0, b = 1; while (true) { co_yield st</int></utility></range></generator></functional></r>…

std::expected<T, E>

次期C++2b(C++23)標準ライブラリに追加されるstd::expected<T, E>クラステンプレートについてメモ。 従来C++例外機構(throw文+try/catch構文)に代わり、関数の演算結果(T型)またはエラー情報(E型)を “値” として返す(return)ための部品。 C++17 std::optional<T>型の</t></t,>…

std::views::commonレンジアダプタの制約

C++20 RangeからC++17互換イテレータペアへの変換にはstd::views::commonレンジアダプタ(range adaptor)を利用する。ただしstd::ranges::basic_istream_viewなどムーブのみ/コピー不可なイテレータからなる一部Rangeは変換できない。*1 #include <sstream> #include <ranges></ranges></sstream>…

Preconditions: false is true.

C++2b(C++23)向けに提案されているコード不到達表明std::unreachable関数の前提条件。 2022-02-09追記:2022年2月会合にて(PDF)P0627R6が採択され、C++2b標準<utility>ヘッダにstd::unreachable関数が追加される。2022-07-25追記:次世代C言語標準でもC2x(C23)向け提</utility>…

自己再帰するラムダ式 @ C++23

次期C++2b(C++23)言語仕様に追加される Deducing this により、自己再帰するラムダ式を自然に記述できるようになる。ラムダ式の第1引数型this autoで宣言されるselfは explicit object parameter と呼ばれ、ここではラムダ式自身のクロージャ型(closure type…

レンジ to コンテナ変換

次期C++2b(C++23)標準ライブラリに向けて、Rangesから各種コンテナ型への直接変換サポートが検討されている。(PDF)P1206R6では下記の機能追加/拡張を提案している。 コンテナ型Cへの変換std::ranges::to<C>レンジアダプタ(range adaptor) 標準コンテナへのstd:</c>…

Last Piece of ラムダ式への属性指定

C++20現在の言語仕様では、ラムダ式に対して(普通のプログラマが期待するであろう)属性指定は行えない。C++2b(C++23)に向けた提案(PDF)P2173R0が進行中。 2022-02-17追記:2022年2月会合にてC++2b(C++23)へ提案文書(PDF)P2173R1が採択された。下記コードは…

Rangeアダプタ std::view::reverse

C++20 Rangesライブラリの逆順ビューstd::ranges::reverse_viewおよびRangeアダプタstd::views::reverse*1についてメモ。 基本の使い方 範囲for構文とRangeアダプタreverseを組み合わせて、配列や文字列やコンテナなどRangeとして扱えるものを逆順に列挙でき…

std::views::splitで文字列分割 @ C++23

次期C++2b(C++23) Rangesライブラリstd::views::splitとstd::string_viewを利用した文字列分割処理。C++標準ライブラリのアップデートによりC++20時点よりシンプルに記述可能となり、またstd::stringを介さないため実行効率改善も見込める。 // C++2b(C++23)…

#elifdefと#elifndef

プログラミング言語C/C++のそれぞれ次期バージョンC2x(C23)/C++2b(C++23)では、新しいプリプロセッサディレクティブ#elifdefと#elifndefが追加される予定。*1 #ifdef identifier:#if defined(identifier)と等価 #ifndef identifier:#if !defined(identifie…

is_scoped_enumメタ関数

C++11以降で導入されたscoped enumeration*1か否かを判別するメタ関数。本記事の内容はStack Overflowで見つけた質問と回答に基づく。2020-11-14追記:C++2b(C++23)標準ライブラリに向けて提案文書(PDF)P1048R1が採択され、<type_traits>ヘッダにstd::is_scoped_enumメタ</type_traits>…